不思議な話

もう去年のこと。私の母方の祖母の33回忌に豊橋のお寺まででかけた。もうほとんど近親者だけだったけれど、20名以上はいたようだ。久しぶりに会った方もいて、ひとしきり話をした後、法事がはじまった。「般若心経」を唱和したけれど、私が知っているお経の速度よりずっとゆっくりだったので、調子が狂ってしまい途中何度もわからなくなってしまった。

ジャジャジャ~ン。今年初めての富士山。車窓から。

ジャジャジャ~ン。今年初めての富士山。車窓から。

おばあちゃまもあきれてるだろうな、と思いながら前を見ると、祭壇の横の後ろの方に着物を着た女性が立っている。こちらを見ていないで首をかしげて右の方をみている。胸元の白い襟が広く見えて黒い着物の下に模様が入っているので、いわゆる黒留という近い親戚の結婚式に着る着物を召している。黒留にしたら、襟の合わせ方が緩く襟も出すぎだと感じた。あまりはっきり見えるので、「これは人形か立て看のようなものに違いない。読経の後サプライズで出してくるのかしら。でもちょっと考えられないな。」とぼんやり考えた後、「まさか祖母の幽霊?」と思った。祖母はそういう時代でもあったのだけれど、特に着物が大好きで、私も「さすが、名古屋着倒れの人だな~」と思うくらい上等な着物を沢山持っていた。

私は二列目に座っていたので、前にいた従姉妹にひそひそ声で声をかけた。「ねえ、隅に女の人いない?」すると凄い勢いで私の方を振り返り、「私もそう思っていた。」と言ったのだ。みんなに見えるのだったら幽霊のはずはない、と思い色々の人に聞いてみたけれど、「私、見えます。」と言ったのは他に一人だけ。後の方はぽかんとしていた。二人にどんな風にみえるか聞いてみると、姿勢、着物、大きさが一致していたので同じもの(人)を見ていたことは間違いない。

何人か幽霊にお会いしたけれど、複数で見たのは始めてだし、他の方は何か蝋燭の光の中のようにぼんやりした中に見えたけれど、祖母(?)はあまりにもはっきり見えた。近寄ったら消えてしまう。でも遠ざかるとまた見える。始めに声をかけた従姉妹は、若い時からお葬式の司会を仕事としていたので、あの世界に近いのかもしれない。もう一人の従弟のお嫁さんも純粋な方だ。見えた幽霊は雰囲気が(幽霊でも雰囲気があるのです)暗くなく、なにか「くすっ」と笑っている感じだったので、法事を喜んで下さったのかもしれない。久しぶりにあの世の方に会えた法事だった。

 

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